大切なお子様だからこそ、お口に関する小さな変化や癖も、気になることと思います。
私たち奥戸いろは歯科・矯正歯科は、小児歯科を単に「子どもの虫歯を治療する場所」とは考えていません。
乳歯が生え始めた瞬間から永久歯が生え揃い、健やかなお口の機能が完成するまで、お子様一人ひとりの大切な成長期に寄り添いサポートすること。
そしてお子様が「歯医者さんは怖くない、自分の健康を守るための楽しい場所」と感じてくれるような経験を育むこと。
それが私たちの小児歯科に対する基本的な考え方です。
お子様の歯を虫歯から守るための「小児歯科」と、健やかな顔立ちと歯並びを育てるための「小児矯正歯科」について、当院の取り組みを詳しくご説明します。

お子様が生涯にわたって健康な歯でいられるかどうかは、幼少期の過ごし方で決まると言っても過言ではありません。

なぜ、乳歯の虫歯治療が大切なのですか？

「乳歯はいずれ生え変わるから、虫歯になっても大丈夫」
それは、大きな誤解です。
乳歯には、お子様の健やかな成長のために、いくつもの重要な役割があります。

1. 永久歯を正しい位置へ導くガイド役

乳歯の下では、永久歯が少しずつ時間をかけて成長しています。
乳歯は、後から生えてくる永久歯が正しい位置に並ぶためのスペースを確保する、大切な道しるべの役割を担っています。
虫歯で乳歯を早い時期に失ってしまうと、隣の歯が倒れ込んできてしまい、永久歯が生えるためのスペースが不足し、将来の歯並びが乱れる大きな原因となります。

2. 顎の骨の発育と正しい噛み合わせの土台

しっかりと食べ物を噛むという行為は、お子様の顎の骨の健やかな発育を促します。
乳歯に虫歯があると、痛みを避けるために片側だけで噛んだり、よく噛まずに飲み込んだりするようになり、顎の正常な発達が妨げられ、噛み合わせのズレに繋がることがあります。

3. 永久歯の健康を守る

乳歯の下では、永久歯が少しずつ時間をかけて成長しています。
お口の中に虫歯があるということは、そこに虫歯菌が多数存在しているということです。
その環境の中に、抵抗力の弱い、生えたばかりの永久歯が出てくると、非常に高い確率で虫歯に感染してしまいます。
乳歯の健康は、永久歯の健康に直結しているのです。

お子様を虫歯から守るために保護者様に知ってほしいこと

実は生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には、虫歯菌は一匹もいません。
虫歯は「感染症」であり、その多くは、保護者様をはじめとする周りの大人から、お口のスキンシップなどを通じて感染します。
特に、乳歯が生えそろう生後1歳7ヶ月から2歳7ヶ月頃は、虫歯菌に感染しやすい「感染の窓」と呼ばれる時期です。
この時期に、保護者様が少しだけ意識を変えることが、お子様の一生の歯の健康を左右します。

感染を防ぐために注意すること

• お子様と同じスプーンや箸、コップを共有しない
• 熱いものを冷ますために、大人がフーフーと息を吹きかけない
• 噛み砕いたものを与えない

もちろん、過度に神経質になる必要はありません。
しかしこうした知識を持っていることが、お子様を虫歯のリスクから遠ざける第一歩となります。
そして保護者様ご自身がお口を健康な状態に保つことも、お子様への感染を防ぐ上で非常に重要です。

当院の虫歯予防プログラム

当院では「痛くなってから治す」のではなく、「痛くならないために、虫歯にならないために通う」歯科医院を目指しています。

1. 歯磨き指導

「歯磨きが嫌い」というお子様は少なくありません。
私たちは、決して無理強いをすることなく、お子様が歯磨きを好きになってくれるようなアプローチを大切にしています。
経験豊富な歯科衛生士が、お子様の年齢や性格に合わせて、楽しく、そして優しく歯磨きの方法を指導します。
また、保護者様には、効果的な仕上げ磨きの方法や、お子様のやる気を引き出すコツなどもアドバイスさせていただきます。

2. フッ素塗布

フッ素には、歯の表面のエナメル質を強くし、虫歯菌が出す酸に溶けにくい歯質を創る効果があります。
また、ごく初期の虫歯であれば、フッ素の力で再石灰化（自然治癒）を促すことも可能です。
特に、生えたばかりの歯は非常にデリケートで虫歯になりやすいため、定期的な高濃度フッ素の塗布は、お子様の歯を守るための有効な手段です。

3. シーラント

奥歯の溝は、複雑で深い形状をしているため、歯ブラシの毛先が届きにくく、最も虫歯になりやすい場所の一つです。
シーラントは、この溝をあらかじめフッ素を含んだプラスチックで埋めてしまうことで、汚れが溜まるのを防ぎ、虫歯を物理的に予防する処置です。
歯を削る必要がなく、痛みもありませんので、小さなお子様でも安心して受けることができます。

お子様の治療への配慮

万が一虫歯治療が必要になった場合でも、私たちは「歯医者さん嫌い」にさせないことを最優先に考えます。
お子様の気持ちを尊重し、まずは診療台に座る練習、器具に触れる練習から始め、少しずつステップアップしていきます。
治療が上手にできた時には、たくさん褒めて自信に繋げます。
どうしても治療が難しいと判断した場合には、無理に治療を進めることはありません。
お子様にとって最善の治療が受けられるよう、連携している小児歯科専門の医院をご紹介する体制も整えています。

小児矯正は、単に「歯並びをきれいにする」ことだけが目的ではありません。
お子様の健やかな成長を導き、将来の健康な生活の基盤を創るための、未来への投資です。

子どものうちに矯正治療を始めるべき理由

大人の矯正治療が基本的に「完成した顎の骨の中で、歯を動かす」治療であるのに対し、子どもの矯正治療は「顎の骨の成長をコントロールしながら、永久歯が正しく生えるためのスペースを確保する」ことを大きな目的とします。
お子様の成長期という限られた時間を利用することで、以下のような大きなメリットが期待できます。

小児矯正のメリット

• 顎の骨の成長バランスを整え、より良い顔立ちの発育を促す
• 永久歯を抜かずに、歯をきれいに並べられる可能性が高まる
• 指しゃぶりや舌の癖など、歯並びを悪くする原因そのものを改善できる
• 結果的に、将来的な矯正治療の期間を短縮したり、治療が不要になったりする場合がある

気づいてあげたいお口の癖（口腔習癖）のサイン

以下のような癖や様子が見られる場合、それは歯並びの乱れに繋がるサインかもしれません。

注意したい癖やサイン

• 気づくと、いつもお口がポカンと開いている（口呼吸）
• 指しゃぶりがなかなかやめられない
• 舌を前に出す、歯と歯の間に舌を挟む癖がある
• 食事の時に、クチャクチャと音を立てて食べる
• いつも猫背気味で、姿勢が悪い

これらの癖は、歯並びを悪くする「原因」であると同時に、歯並びが悪くなった「結果」として現れている場合もあります。
表面的な歯並びだけを治しても、根本的な原因である癖が残っていては、また後戻りしてしまう可能性があります。

矯正装置の紹介

機能的マウスピース型矯正装置（プレオルソ、マイオブレイスなど）

日中数時間と、就寝中に装着する、取り外し可能な柔らかいマウスピースです。
お口周りの筋肉を訓練し、歯並びが悪くなる原因を根本から改善していきます。

マウスピース型矯正装置（インビザラインファースト）

大人の治療でも用いられるインビザラインの、お子様向けプログラムです。
透明で目立ちにくく、顎の成長を促しながら、歯を効率的に動かすことができます。

アクティビティ（MFT：口腔筋機能療法）

装置の装着と並行して、舌や唇、頬の筋肉を正しく使えるようにするためのトレーニング（アクティビティ）を行います。
専用のテキストを使い、楽しくゲーム感覚で取り組めるプログラムです。
このトレーニングを継続することが、治療の成功と、後戻りのない美しい歯並びの定着に、絶対に欠かせません。

アクティビティの特徴

• 姿勢・呼吸・矯正装置の3つの要素を統合
• 根本原因から歯並びの問題を改善
• お子様の成長する力を活用
• 取り外し可能な装置で負担軽減
• 楽しいトレーニングプログラム

ここまで当院の小児歯科・小児矯正についてご説明してきました。
しかし、どんなに優れた治療やプログラムがあったとしても、お子様のお口の健康を守る主役は、日々の生活を共に過ごす保護者の皆様です。
私たちは、その主役である皆様を、専門的な知識と技術で支える、信頼できるパートナーでありたいと願っています。
「これは虫歯かな？」「この癖は、治したほうがいいのかな？」
どんな些細なことでも構いません。
お子様のお口について少しでも気になることがあれば、どうぞお一人で悩まず、私たちにご相談ください。
皆様からのご相談を、心よりお待ちしております。