お口のトラブルは、虫歯や歯周病だけではありません。
口腔外科は歯や歯茎だけでなく、顎、舌、頬の粘膜など、お口とその周囲に起こる様々な疾患を診断し、治療を行う専門分野です。
「外科」という言葉を聞くと、少し怖いイメージを抱かれる方もいらっしゃるかもしれません。
だからこそ私たちは、患者様の心に寄り添い、丁寧な説明を尽くすことを何よりも大切にしています。
そして安全な治療を確実に行うための、専門的な知識、高度な技術、そして先進的な設備を整えています。
原因がわからず不安に思っている症状があれば、どうぞお一人で悩まず、私たちにご相談ください。
当院の口腔外科では、以下のような幅広い症状に対応しています。
もっとも奥に生える親知らずは、磨きにくさや、生え方の問題から、痛みや腫れといったトラブルを引き起こしやすい歯です。
詳しくは、この後のセクションで詳細にご説明します。
「口を開け閉めすると、耳の前あたりで音がする」「大きく口を開けられない」「顎が痛む」といった症状は、顎関節症の可能性があります。
顎関節や、その周りの筋肉に過度な負担がかかることで起こる病気で、噛み合わせの問題だけでなく、ストレスや生活習慣、姿勢の悪さなど、様々な要因が複雑に関係していると考えられています。
マウスピースを用いた治療や、生活習慣の改善指導などを通じて、症状の緩和を目指します。
お口の中には、様々な「できもの（腫瘍）」が発生することがあります。
その多くは良性ですが、中には悪性腫瘍（口腔がん）の可能性も否定できません。
「ただの口内炎だろう」と自己判断せず、2週間以上経っても治らない、しこりがある、形が変化している、といった場合には、必ず専門家による診断を受けてください。
早期発見が、何よりも重要です。
スポーツや交通事故、転倒などによって、歯が折れたり、抜けたり、唇や舌を切ったり、顎の骨を傷つけたりした場合の治療も、口腔外科の領域です。
外傷は、できるだけ早く適切な処置を行うことが、機能的・審美的な回復のために非常に重要です。
歯が抜けてしまった場合でも、条件が良ければ元に戻せる（再植）可能性がありますので、諦めずに、抜けた歯を牛乳などに浸して、すぐにご来院ください。
虫歯が進行して神経が死んでしまうと、歯の根の先に細菌が感染し、膿の袋を作ることがあります。
この膿の袋が大きくなると、歯茎が大きく腫れたり、場合によっては顔まで腫れたりすることがあります。
原因となっている歯の根の治療（根管治療）や、状態によっては歯茎を切開して膿を出す処置（消炎処置）を行い、炎症を鎮めます。
口腔外科でご相談の多い治療の一つが、親知らずに関するものです。
ここでは、親知らずについて詳しく解説します。
親知らずは、前歯から数えて8番目、一番奥に生えてくる永久歯で、「第三大臼歯」あるいは「智歯（ちし）」とも呼ばれます。
生えてくる時期は10代後半から20代前半頃が多く、全ての方が4本生えそろうとは限りません。
生まれつき親知らずがない方や、骨の中に埋まったまま一生生えてこない方もいます。
現代人は顎が小さくなる傾向にあり、親知らずが正常に生えるためのスペースが不足していることが多いと言われています。
そのため、様々な問題を引き起こす原因となり得ます。
もっとも奥にあるため歯ブラシが届きにくく、非常に虫歯になりやすい歯です。
また、親知らず自身だけでなく、その手前にある大切な「第二大臼歯」まで虫歯にしてしまうケースが後を絶ちません。
親知らずが斜めや横向きに生えてきたり、歯の一部だけが歯茎から出ていたりすると、歯と歯茎の間に深い隙間ができます。
この隙間に汚れが溜まり、細菌が繁殖することで、歯茎が赤く腫れたり、痛みが出たり、膿が出たりします。
体調を崩して免疫力が落ちた時などに、症状が強く出やすいのが特徴です。
横向きに生えた親知らずが、手前の歯をぐいぐいと押し続けることで、全体の歯並びが乱れてしまう原因となることがあります。
すべての親知らずを、必ず抜かなければならないわけではありません。
当院では、精密な検査に基づいて、一本一本の状態を慎重に診断し、抜歯の必要性について丁寧にご説明します。
外科処置には、不安がつきものです。
私たちは、その不安を安心に変えるため、専門性の高い医療チームと、安全性を極限まで高めるための設備を整えています。
一般的な歯科医院では、大学病院などへ紹介されることが多い、真横に埋まった親知らずの抜歯や、骨の中に深く埋まっている歯の抜歯といった難症例。
当院では、定期的に口腔外科を専門とする歯科医師が来院し、院内でこれらの処置に対応する体制を整えています。
豊富な知識と経験を持つ専門医が、確実な手技で処置を行います。
患者様は、通い慣れた当院の環境で、専門性の高い治療を安心して受けていただくことが可能です。
安全な外科処置を行う上で、術前の正確な診断は、何よりも重要です。
特に親知らずの抜歯では、歯の根の形や、下顎の骨の中を通る太い神経・血管との位置関係を、事前にミリ単位で把握しておく必要があります。
当院では、必ず歯科用CTによる三次元撮影を行います。
この立体的な画像情報に基づいて、抜歯のシミュレーションを行い、あらゆるリスクを想定した上で、もっとも安全なアプローチを選択します。
このステップが、偶発的な事故を防ぎ、安全性を担保する礎となります。
「どうしても手術が怖い」という、恐怖心の非常に強い患者様のために、当院では麻酔科の専門医と連携し、「静脈内鎮静法」に対応しています。
点滴によって鎮静薬を投与することで、うっすらと眠っているような、あるいは、ぼーっとした夢を見ているような、非常にリラックスした状態で治療を受けることができる方法です。
健忘効果もあるため、「気づいたら、すべて終わっていた」と感じる方がほとんどです。
精神的なご負担を、劇的に軽減することができます。
抜歯後の順調な回復のため、いくつかお守りいただきたい注意点がございます。
